義妹生活【電子特典付き】 (MF文庫J)

 


「主人公とヒロインが同居する」物語を、どのように表現しているのか、最近のラブコメの流行を知る上で非常に参考になった。


先ず、主人公に嫌みなところがなく、実に「良い奴」として描写されている。「オタク読者に媚びるための、過度なオタク趣味アピールのような設定」も控えめ。意外と珍しいタイプの主人公の気がする。


ヒロインとの距離感も、ありそうでなかった。同級生の女子高生で、互いに一線を引いている。
その一線を、積極的に狭めるわけではなく、「距離を置いた同居生活の中で、自然と近づいていく」ところを楽しみながら読めた。

 

同居ハーレム系ラブコメのような、ラッキースケベはないし、ヒロインが露骨に好意をアピールしてくることもない。

皆無というわけではなく、特にラッキースケベに関しては、かなり描写控えめにしてある。

 

「最近の読者はエロい展開を嫌う」というのを、また、思い知らされた。

 

根本的なところで、あれなんだけど、本作のジャンルは何なんだろう。
ライトノベル(ラブコメ)とライト文芸の中間にあるような、雰囲気。


この空気感、覚えておきたい。

 

准教授・高槻彰良の推察

 

 

人気投票企画『https://lightnovel.jp/best/2021_01-06/vote.html』で高い評価だった作品。


なるほど。他の作品とは違う読者層から支持を得ていそう。
ライトノベルよりも一般文芸に近い。これがいわゆるキャラクター文芸だろうか。


「不思議」や「怪異」があることを前提としたミステリーなのに、
「不思議」や「怪異」を否定する推理をしていくのが面白い。


この作品の世界に
「不思議」や「怪異」があるのかないのか、いい感じに曖昧になった雰囲気がよい。


登場人物の男は全員、香水でもつけていそうな清潔感があるし、
重めな人間関係もあったけど、読んでいて嫌な気分にならず、全体的に読み心地が良かった。

 

ようこそ実力至上主義の教室へ (MF文庫J)

 

 

 

「やたらと学生生活が優遇される架空の学園」が舞台になる系の作品。
こういう舞台はMFに多い気がする。

 

主人公が苦手なタイプなので序盤の印象はあまり良くない。
読み始めた直後は「意味もなく一人称が中二病全開で読みづらい作品か」とげんなりした。

この手のキャラクターって「そんな喋り方をする人間が現実にいたら嫌われるだろ」としか思えない。
さらに友人やヒロインまで似たような口調で斜に構えた態度をとる作品が、本当に苦手で……。


ただ、本作は違った。


「こんな性格じゃ友達いねえだろ」と感じたように、友達がいない。
それでいて、適度に友達をほしがる。でも、うまくいかない。

ウザい性格に理由付けがされていて、物語の中での必然性を出しているから、読んでいるうちにだんだんと好きになっていく。


メインヒロインも性格に難がありで、「こんな性格じゃ友達いねえだろ」みたいなタイプなんだけど、ちゃんと友達が居ない。

よくある「何故か良き理解者に囲まれている」作品とは違って、ちゃんと、キャラクターの性格と立ち位置が一致していた。


『千歳くんはラムネ瓶のなか』も同じように、主人公が最初はウザくて(個性が描写されて)読み進めていくうちに好きになる(共感出来るようになる)。

この共通点は、主人公を書くうえでのヒントになるかもしれない。覚えておきたい。

 

ちゃんと終盤に向かって事件が起きて、主人公が仲間の協力を得て解決していくプロセスもしっかりと描かれていて盛り上がる。


物理的な障害ではなく、「性格に纏わるような人間関係」が根底にある問題なので、解決が実に困難に思える。


わりと詰んでいるような困難な状況を、どうやって、解決するのか興味を持ちながら読んだ。

 

物語では物理的な障害よりも精神的な(人間関係の)障害を与えるべきということと、
登場人物の性格(人格形成)には理由があるというのを、改めて教えてもらった気がする。
自分で書くときに忘れないようにしたい。

 

WEB投稿作品まとめ2021年8月時点

 

赫奕たる魔光は天に漲る

【連載中】【シリアス】【ダークファンタジー】【青年向け】

中世ヨーロッパ風世界のダークファンタジー

大人向けシリアス作品なのでエログロあり。青年漫画のノリ。

現時点で公開中の作品の中では最もうーぱーらしい作品だと思う。

文庫一冊分まで連載する予定。

オススメ。

 

 

 

 

学校一の美少女アリスさんと僕は、誰も居ない教室でアニオタトークをする

【完結済】【ラブコメ】【中高生向け】【大人向け】

1万字くらい。サクッと読めるラブコメ

UFOロボ グレンダイザーを筆頭に懐かしのアニメネタが満載。

幅広い年齢層向けの作品。

 

1300年南フランス・ラングドックの城塞都市と吸血鬼

【完結済】【歴史物】【ラブコメ】【中高生向け】【大人向け】

3万字くらい。

タイトルのとおり、1300年の南フランスを舞台にした歴史物。

大人向け。男女は問わないと思う。

 

パパ(勇者)を殴るために魔法学園を主席卒業したいのに、自称魔王転生者の転校生の面倒をみることになっちゃった。お願いだからもう問題を起こさないで……

【完結済】【ファンタジー】【中高生向け】

女主人公の軽いノリのファンタジー。学園都市、魔王、勇者という定番設定を盛り込んでみた。

 

ギルドをクビになったから、エルフ幼女(キュウリ大好き。すぐに話を盛る)と元後輩(幼児退行癖あり)と元ゾンビのメイド(無自覚エロ)と一緒にチートスキル「ステータス編集」でスローライフを送ることにします

【連載放置中】【ファンタジー】【中高生向け】

書く習慣を維持するために書いていた。深く考えずに書いていたので、不意に飽きて放置してしまった。

 

吸血鬼の娘はヤマタノオロチと出会う

【完結済】【現代異能】【中高生向け】

女主人公の現代異能もの。妖怪モノに該当する?

うーぱーが2番目に書いたラノベ

シミュレーションゲームのシナリオをラノベ化したものなので、一次創作物としては、これが初めて創ったもの。

なろう版(https://ncode.syosetu.com/n6235fh/)は改稿前なので、けっこう内容が違う。本作が大好きな人は両方読んでみると良いかも。

 

 

FPSで伍長だから雑魚だと思った? 実は最強クラスです。僕を追放した奴等は後悔しても、もう遅い。あと、リアルで会ったフレンドはメスガキでした。一緒に仲良くゲームします。

【完結済】【ラブコメ】【ゲーム】【中高生向け】

初期作品。軽いノリの現代物。主人公が女の子と出会って仲良くゲームする。

WEB公開している中で、ダントツに高いポイント評価を得ている。ランキングなどに入っているので、定期的にアクセスされている人気作。

 

 

女児型AIは恋愛したい『巨大ロボのAIだからパイロットの赤ちゃんは産めない? そんなこと言われてももう遅いのです。だって好きになっちゃったんだもん! あと、滅びよ人類!』

【完結済】【ロボット】【ゲーム】【大人向け】

シアリアスとコメディを混ぜたロボット物。序盤はギャグで次第にシリアスになっていく。

一般ウケしにくいないようかもしれないけど、電撃小説大賞で4次選考まで残ってたし、読んだ人からの評価は高いので、特定の人には刺さると思う。

 

帰宅部女子と帰宅しようとするのを、水泳部美少女に邪魔されるので何とかしたい

【完結済】【学園異能】【ラブコメ】【中高生向け】

初期作品。コメディ。

自分的にはかなり好きなノリの作品。あんまり読者はいない。

 

 

魔王討伐パーティー勇者、俺! 女忍者はお色気担当! マッチョ戦士(男)もお色気担当!

【完結済】【異世界ファンタジー】【中高生向け】

初めて書いたラブコメ

記念に投稿したけど、ぶっちゃけ、おすすめしない。

ただ、メインヒロインの設定はいつか再利用したいくらい最高だと思う。

 

《スキル創成》を駆使して異世界学校の『のじゃロリ』教師をお手伝い

【完結済】【異世界ファンタジー】【中高生向け】

初期作。軽いノリのファンタジー異世界に転生しない異世界物。俺ツエーしたかったけど、ヒロインが強すぎて俺ツエーできなかった。

 

寓話に女騎士を混ぜてみた短編集

異世界ファンタジー】【中高生向け】

5分くらいで読み終わる短編が10個。

なんとなく教訓があるような気がする、架空の寓話。

気軽に読めるから、暇つぶしにオススメ。

 

 

女僧侶と泉の精霊(本当はエッチな寓話)

異世界ファンタジー】【大人向け】

初めて書いたエロ小説?

成年向けサイトに投稿してみたかったからエロ要素を入れて書いたけど、実際はギャグ。エロくないとおもう。

 

 

 

薬屋のひとりごと (ヒーロー文庫)

 

 

面白かった。


洋の東西を問わずに宮廷モノが嫌いな僕でも、楽しめた。


好きじゃない人間でも楽しめるんだから、この手のジャンルが好きな人はたまんない逸品だろうなあ。


宮廷モノって、知らない単語や興味のない文化ばかり出てきて読みにくいという先入観があったけど、杞憂だった。

一部、性的なことでぼかした表現になっているのは仕方ないとしても、独特な文化を前提にして説明不足になることもなく、わかりやすく書いてあった。


主人公が周囲に能力を隠していて、本心を隠して他人に心を開くことなく、また、内心で他人を馬鹿にしているともとれる、ちょっといけすかないやつだけど、女子ということもあって、愛嬌とも言える。

 

適度に痛い目に遭っているし、遥か上の権力者には逆らえないという構図もあり、主人公の生意気さが嫌みになっていないのもいい。

 

ひとつひとつのエピソードが面白くかいてあるから、短編集の弱点である「一冊として見たときの盛り上がの欠如」はほとんど感じなかった。

 

男児を産んだけど失った妃」が一番好きだった。

なんというか、ああいう立ち位置の不幸な女性って好きなのよね。

そこが話の焦点ではないとは分かっていても、あの人に幸運が訪れるかどうか期待しながら読んでいた。

 

主人公の貢献者ポジションに着く妃様はちょっと苦手。