浮遊世界のエアロノーツ 飛空船乗りと風使いの少女 (電撃文庫)

 

 

過去(秘密)を抱えた少女アリアと、彼女を庇護する男の物語。


少女と男の年齢は離れているし、少女目線の明るい雰囲気で話が進むので「男との二人旅はちょっと……」という人も安心して読めます


世界設定で最も重要な部分を最初の一ページで紹介しているのが上手い。
主人公目線での疑問にすることにより、世界設定の特異さを受け入れやすくする工夫がなされている。
キノコという小道具を使って、登場人物の性格を早い段階で提示していることも相まって、物語に早い段階で没入できる。

いや、しかし、男のやらかしたことについては、ドン引きする。
ドン引き感情をヒロインと共有できるから、身近に感じられていいですね。

短編集の形式を取っており、一つ一つのエピソードを書きながら、全体を通しては「少女の記憶」と「男の過去」という『謎』で、興味を惹く形式を取っている。


第一話では、「自分が持っているパソコンや電子書籍リーダーが、作中の鏡や帽子みたいなことになったら、どうかな」と妄想する楽しみができる。
謎解きは「登場人物の人数からして、**が犯人」みたいな「メタ的な予想」で読んで外れて、さらに真相で捻ってあるから、気持ちよく期待を裏切られた。
第一話の島の設定だけで一冊作れそうなのに、なんと一話限りの設定だった。贅沢な設定の使い方をしている。


問題は第三話。
読んだ人の中で物議を醸しそう。
小説としては、エピソードの締めくくりに捻りがあるし、少女の心を揺さぶる良い展開です。
でも、
『幼女だけは辛い目にあわせてはいけない連盟』一員の僕、困惑。


「小説としての狙い」は分かるけど、それでも、それでも――!


『幼女だけは辛い目にあわせてはいけない連盟』の人は、第三話がハッピーエンドなのかバッドエンドなのか是非とも読んで確かめてください。

 

 

あとがきのあとにも本文があるので、電子書籍で読んでいる人は注意が必要。

 

 

 

捕捉。


本作に限った話ではないのですが「あとがきのあとの本文やおまけ」は、存在に気付かけないので、苦手です。例えば、漫画だと、「裏表紙やカバーの次のページに、店舗特典のペーパーが収録されている」なんてこともあるんですけど、これ、偶然気づければ運がいいくらい。多分、気づかないままの作品が大量に有る。


紙の本なら後ろに紙があることが分かるのですけど、私が使っている電子書籍リーダーだと残りページ数を表示できないので、あとがきの後ろの存在に気付かないまま、閉じてしまいます。

作品の一覧ページで99%読了という状況を確認できるけど「残り一ページは宣伝だから見る価値なし」なので、わざわざ見ようとしません。

今回はたまたま、最後のページの次に勝手に出てくる『この商品も買ってね!』ページを表示したくて、最後まで見ようとしたから偶然「あとがき後の本文のエピローグ」に気付けたけど、普段は気付けない。