ちっちゃくてかわいい先輩が大好きなので一日三回照れさせたい (電撃文庫)

 

 

タイトルそのままの作品で、まさに、ラブコメ。ラブラブしてコメコメしてる。
主人公目線で話は進み、とにかく先輩ヒロインを照れさせようとする。

物語の構造は漫画の『それでも歩は寄せてくる』に近い。
同じ部活に所属する主人公とヒロインの関係が中心で話が進んでいく。
好意を隠さない後輩男子が、すぐに感情を表に出してしまう先輩ヒロインに、直球の言葉を投げまくる。


『ちっちゃく』てかわいい先輩の、小ささは物理的なサイズだけでなく、内面も現わしている。
親に「カレーライスのニンジンをニャンコ型にする」よう頼むような幼さがあって可愛らしい。


真っ直ぐな後輩が先輩に迫って、先輩が照れるという構造は、それこそ序盤の内は『それでも歩は寄せてくる』を彷彿とさせるが、中盤から徐々に本作ならではの要素が増え始めていき、面白くなっていく。


中盤から過去にまつわるちょっとしたトラブルが再燃しそうな雰囲気もあり、物語がだれないように興味を惹いてくる。
小エピソード集といった構成だけど、全編を通してきっちりと危機を迎えて、主人公が仲間の協力を得て解決していくので、一冊分の読み応えもしっかりあり楽しめました。


「傍から見ればいちゃいちゃラブラブなんだけど付きあっていない先輩後輩」の、照れくさい関係を見たい人にオススメの一冊でした。


作品自体に不満はないけど、ちょっとした問題が。
電子書籍版(KindleOasis)の不具合だと思うけど、ページの途中で小さい挿し絵(暗がりで抱きつくシーン)が差しこまれている。
おそらく、改ページ設定がない。