お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件 (GA文庫)

 

 

人気投票企画『https://lightnovel.jp/best/2021_01-06/vote.html』で最も多くの票数を得ていた作品。


タイトルからイチャイチャするお話なと思っで読み始めたら、
どうやら冷たい系のヒロインとちょっとずつ仲良くなっていく系のお話っぽいと思ったら、
ほぼ無自覚の内に両思いのふたりが新婚生活のようなイチャイチャをするお話だった。

 

ブコメのクライマックスに起こる事件はなかなか難しくて不自然になりがちだけど、
本作の主人公とヒロインとの関係が友人に発覚する流れの自然さは実に上手かった。

 

主人公に自己投影して「ヒロインとの微妙な距離感」を楽しむ読み方と、
主人公とは距離を置いた上で「主人公とヒロインの微妙な距離感」を微笑ましく応援する読み方ができそう。

 

僕は後者スタイルで、主人公に「もっとヒロインに興味を持てよ」とやきもきしながら読みました。

 

最近の流行を知る勉強になった。


・あまりイチャイチャしない。物理的な接触はほとんどない

・裸や下着を見るなどのエロハプニングはない

・ふたりの関係が破局したり生死に関わるような重要な事件は起きない

・脇役は個性が薄目(主人公とヒロインの邪魔をしない)

・主人公に対して好意的な人物ばかり出る。悪意を向けてくる人間は居ない

・文章表現は軽め。やや、きどった(すかした)一人称

・読者に想像力を要するような比喩表現や、ストレスを与えるような展開を避けている


WEB小説で推奨されている(結果的にそれがうけている?)技法を使っている……
というより、ノリがあっているという方が近い?


自分がラブコメを書くときに「どの程度の危機を書くか」「主人公とヒロインの距離感をどうするか」と、色々と考えさせられる一冊でした。
というより考えるために読んでいるので、考えさせてくれてありがたい。

 


WEB小説の文庫化は実質的に『週刊漫画誌』や『月刊漫画誌』の単行本化なので、一冊を通しての読後感が異なっていることは注意したい。